起業したての会社にとって、日々の税務処理・管理を滞りなく進める上で税理士事務所への相談は必須といえるでしょう。
しかし、税理士事務所は全国に約30,000件(平成28年度経済センサス基礎調査によるデータ)あり、ある程度地域で絞り込みをかけるとしても相当数の事務所の中から選ばなければなりません。
そこで重要なのは、良い税理士事務所と悪い税理士事務所を見極めるポイントを定めておくことです。
当記事では「良い税理士事務所」とされる特徴についていくつかピックアップしておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
顧客に寄り添ったサービス意識を持っているか
言葉は悪いですが、税理士業界は未だ古い体質が残っており、いわゆる「お役所仕事」と揶揄されるような傲慢な税理士の方も少なくありません。
一般に「先生」と呼ばれる職業だけに、依頼主をお客様として扱う意識が希薄になりがちといわれています。
しかし、すべての税理士がそうであるわけではなく、特に近年は「サービス業」として顧客満足度を追求した良心的な税理士事務所も、筆者の体感ではありますが増加傾向にあると思われます。
「お客様目線」で高いサービス意識を持つ税理士は、単に「気持ちがいい」というだけでなく、お客様も気づかなかった節税対策や経営・運用にまつわるアドバイスを積極的に実施してくれるでしょう。
反対に昔ながらの「先生タイプの傲慢な税理士」だと、費用をもらうことだけを考え、こちらの要望や課題をきちんと汲み取らず経営改善が望めないケースが多々考えられます。
「長々と説教や自慢話をする」「高圧的な態度や話し方をする」「面倒そうにヒアリングし、話半分で切り上げる」
こういった税理士事務所に相談しても、大きな実入りは期待できないと言っていいでしょう。
お客様にとって必要な情報をこまめに収集し、適時ヒアリングを行い、要望や課題にそって丁寧に指導してくれる。
必要とあらば新たなビジネスモデルを提案してくれる。
そんな高いサービス意識を持った税理士事務所を選ぶことで、税に関するお悩みが解決するだけでなく経営そのものも上向きになるかもしれません。
レスポンスの早さに定評があるか
日頃、税理士事務所とのやり取りを続けていく上でレスポンシブの早さ、つまり迅速な対応というのは非常に重要となります。
事業所の状況次第では税理士からのスピーディーな返答や指導が必要となりますし、特に多額の資金が係る事案では少しの対応の遅れが命取りとなる可能性があります。
実際に、税理士事務所からのレスポンシブの遅さというのは多くの経営者から不満の声として漏れているので、最初の相談やお問い合わせの段階で「どの程度の時間で返答や対応がもらえるか」という点は必ずチェックしておくようにしましょう。
会社立ち上げ段階ではある程度スケジュールの融通も利かせやすいでしょうから、その時期に複数の税理士事務所を洗い出してレスポンシブの早さを比較するのも一つの手です。
資金調達に関する知識やコネクションを持っているか
税理士事務所は税務処理のプロフェッショナルが集う場所なので、税金に関する諸々の対応はできて当たり前です。
プラスアルファの要素として、経営を潤沢に進める上での協力が得られそうかという付加価値も追求しましょう。
その最たる例が「資金調達」です。
言うまでもなく経営において資金のやりくりは会社の存続に関わる重要なファクターですが、ここに言及し的確な指導や知識の伝授を行なってくれる税理士が理想です。
銀行からの融資を受けるために必要なことや、現在の経理状況を見通した上での資金調達シミュレーションなど、明確な数字として算出し助言してくれる税理士が顧問につけば百人力です。
中長期的な事業計画が立てやすくなるほか、無駄な支出の削減などのメリットもあります。
自分の事業に関係する知識に富んでいるか
冒頭でもお話したとおり、世の中には数え切れないほどの税理士事務所があり、そこに所属する税理士も千差万別です。
それぞれ業界ごとに得手不得手もありますし、単純に税理士の能力もピンからキリまであります。
最初の相談・面談の段階で、自分の事業について詳しく説明した上で
「どのような節税対策があるか?」といった風に踏み込んだ質問を投げかけてみましょう。
そこで曖昧な回答しか得られないようであれば、その税理士事務所は見切ったほうが得策です。
反対に、同業界において過去の事例・経験談に基づいた説明が返ってくれば、その人とは長い付き合いが期待できるかもしれません。
そういう意味では、こちらが税理士を「試験」してやる、というシビアな気持ちで対面するのが丁度よいかと思われます。