規模の多少に関わらず、会社運営において税理士事務所との顧問契約は必須といえます。
日々の財務処理や手続き・申告など、知識や経験を持たない人では対応できない部分を代行してくれるのが税理士だからです。
しかし、税理士事務所を選ぶ上で重要なのは、単なる作業面ではありません。
いかに有用な節税対策を提案・アドバイスしてくれるかを重視しなければならないのです。
「うちは小さな会社だから節税とか関係ないかな……」
と考えている経営者の方もいるかもしれませんが、むしろ小規模な会社ほど節税対策が重要になります。
節税を行なうのと行なわないのとでは数百万円の違いがあります。
今回、改めて節税の重要さを認識していただくと共に、節税に強い税理士事務所の探し方についてお話したいと思います。
多くの税理士事務所では節税対策に消極的?
税理士といえば、つまるところ「税のプロフェッショナル」。
どの税理士事務所に相談しても、快く積極的に節税対策に協力してくれるはず……と、そう思っている方もいるでしょう。
しかし実際のところ、「担当の顧問税理士が全く節税に関する提案やアドバイスをくれない」という不満を漏らしている経営者の方は少なくありません。
その理由は至って単純で、税理士の任務は「適正申告」と「適正納税」が原則であり、節税は必ずしも税理士のサービスに含まれていないからです。
また、税務署のお叱りを受けるのが怖くて迂闊に節税を提案できないという後ろ向きな税理士も存在します。
そして、節税対策というのは複雑な税法の網目をかいくぐる行為ですから、豊富な経験とそれに裏付けされた知識が必須スキルです。
大手の税理士事務所ならまだしも、開業間もない個人の税理士事務所だと、ノウハウの蓄積が無いために節税に消極的になるのでしょう。
節税に「強い」税理士事務所とは?
節税対策とは、簡単にいえば経費を積み増ししたり、役員の報酬や従業員の給与を増減したりして会社の利益を限りなくゼロに近づけることで法人税の計上額を削減するというもの。
法人税の負担は、特に起業まもない小さな会社にとって大きな痛手となりますので、基本的に節税するに越したことはありません。
しかし、ただ闇雲に「とにかく経費で落としまくって会社のお金を残さなければいい!」という方法で節税対策を講じると、今度は会社の運用資金が困窮してしまうという本末転倒に陥りかねません。
また不正な経費の精算は税務署の指摘を受ける可能性があります。
そのため、全く節税の提案をしない税理士は問題外ですが、ただ節税できればいいという勇み足の税理士も考えものです。
重要なのは会社の事業を安定ないし拡大させていくために、どの程度の節税が必要かを経営者としっかり話し合い、適正な対策を打ち出すことです。
その会社の業界の事情に詳しい、あるいは経験のある税理士であれば尚良いでしょう。
具体的に言えば、明確な数値を出した節税シミュレーションをもって提案してくれる税理士は信用できます。
ここで言葉を濁しながら、「とにかくこれで節税できますよ」と適当な説明しかしない税理士は顧客のためにはなりません。
以上をまとめますと、「節税は大事だが、節税は手段であって目的ではない」ということです。
複数の税理士事務所に相談を持ちかけ、その中で最も具体的な節税プランを出し、そして自身の運営する業界の知識に長けている税理士を選りすぐるようにしましょう。